■ 残念なニュース:三菱自動車 アイ・ミーブ終了 (2020.9.21)

三菱自動車の「アイ・ミーブ」は世界初の量産電気自動車(EV)であり、2009年に売り出された。かねて日本発の先進技術として注目していたのだが、
日経新聞(2020.9.19)に残念なニュースを見た。タイトルは「忘れられた先駆者たち 「アイ・ミーブ終了」とあった。

    三菱自動車が量産電気自動車(EV)「アイ・ミーブ」の生産を終える。
    EV時代の幕を切ったもののの主役の座をすぐに米テスラなどに明け渡し、忘れられた存在となっていた。
    EVに限らず近年の日本企業はイノベーションの先陣を切りながら、いつの間にか取り残される例が相次ぐ
    そこにはアイ・ミーブと共通する3つの課題がある。 @世界戦略、A内向き固執、Bモノ中心の発想

<日経電子版から>
    アイ・ミーブの累計の販売実績は約2万3000台にとどまる一方、翌10年に日産自動車が発売したEV「リーフ」は
    累計約50万台と大差がついた。不振の原因はEVの性能の決め手となるリチウムイオン電池への投資を怠ったこと。
    グループ内調達にこだわり手をこまねいている中、テスラはパナソニックと組むなど共同生産体制を築き上げた。
    また、不祥事や経営問題を抱えた三菱自はこうした技術革新の流れに乗り遅れたといえる。

    コスト削減も進まなかった。アイ・ミーブは国内で軽自動車規格だった発売当初でも約320万円と中級セダン並み。
    テスラのモデル3は航続距離が約400キロメートルとアイ・ミーブの2.5倍で約500万円から。
    競争力で他社に対抗できなかった。
    三菱自の幹部は「EV開発に継続して投資する資金的、人員的な余裕が無かった」と話す。


■ 電気自動車 (電気+ソフト) の時代へ (2010.112)

    (三菱自動車のHPから)

昨年(2009)、三菱自動車が電気自動車アイミーブ(i-MiEV)を発表した。アイミーブは軽自動車をベースに大容量のリチウムイオン電池を搭載したもの。
1回の充電で160kmの走行が可能。最高速度は130km/hというから普通のクルマと性能は変わらない。本格的な電気自動車時代が到来したかに思える。

日経に「技術経営論からみた電気自動車」という記事が載っていた(日経新聞・経済教室2009.11.19)。
電気自動車は主要部品がケーブルで連結されるため部品配置に制約が少なく、設計の自由度が大幅に向上する。
電池やモーター、インバーター、充電器などの部品相互の依存関係が単純という構造的特徴を持つという。
  部品の相互依存関係が簡単になればモジュール化が進展する。いわば、設計思想がパソコンに近くなっていく。
パソコンで主要部品(CPU、メモリ、ハードディスクなど)を組み合わせるように、クルマも組み立てられるというわけだ。

現に、すでに韓国や中国からは、市場から部品を調達し組み立てた、激安の電気自動車が発売されているようである。
かつてパソコンの黎明期に、NECや富士通といった独自のアーキテクチャーをもっていたパソコンが、
IBM-PCの出現と共に、あっという間にIBM互換パソコンに席巻されたのを思い起こさせる。

いまのクルマには、数十個のコンピュータ(4ビットから高性能CPUまで)が搭載されているそうだ。
当然、ソフトウエアが大きな役割を担っている。アンチ・ブレーキロックとか、燃費向上のスロット制御は、まったくコンピュータ/ソフトの仕事だ。
あのハイブリッド車プリウスの発売初期に、ソフトの不具合で走行トラブルが頻発したことを思い起こさせる。

クルマの開発費のうち、すでにソフトの開発費が半分以上を占めている現状らしい。電気自動車になってますますソフトへの依存度は増えるだろう。
これからは「電気とソフトウエアの時代だ」といっても、牽強付会の説として退けることはできない。(K)


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