■ 『ビジョナリー・カンパニー』 組織の設計に時間をかけよ (2006.12.18)



ビジネス指南書の古典という位置づけのようだ。1995年に第1版が刊行されているので、すでに10年を超えている。手元にあるのは、2006年 第32刷。続編も出ているようである――『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(2001/12)。

ビジョナリー・カンパニーとは、ビジョンを持っている企業、未来志向の企業、先見的な企業。本書で取り上げられているのは、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ヒューレット・パッカード(HP)、IBMなどの超一流カンパニー。そして、日本企業で唯一取り上げられているのがソニーである。

いまソニーはどうなっているか。液晶テレビの好調でこのところの低迷を脱し、どうにか立ち直った矢先に、リチウム電池のリコール問題でつまづいている。本業のエレクトロニクスに全力を傾注したとはいうものの、技術力の低下はないのか。

基本理念がしっかりしていることが、ビジョナリー・カンパニーの条件だという。かつて、盛田昭夫が掲げた、ソニー・スピリッツはこうである。「ソニーは開拓者。人のやらない仕事、困難であるがために人が避けて通る仕事に、ソニーは勇敢に取り組み、それを企業化していく……」

本書で何回も繰り返されている概念は次の2つだ。
時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ
「ANDの才能」を重視しよう

時計をつくること、時を告げるのではなく。カリスマ的指導者になることに全力を傾けるのではなく、建築家のようなやり方で、ビジョナリー・カンパニーになる組織を築くことに力を注ぐことだという。製品ラインや市場戦略について考える時間を減らし、組織の設計について考える時間を増やすべきだと。

「ANDの才能」とは言わば「二兎を追う」ことだろう。矛盾する目標を同時に追求できないとする理性的な見方――低コストか、高品質かのどちらかだ、という類――これを「ORの抑圧」と称している。この抑圧をはねのけ、両極にあるものを同時に追求する能力だ。AかBのどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手に入れる方法を見つけ出すこと。

単純に短期と長期のバランスをとることではなく、短期的に大きな成果をあげ、かつ、長期的にも大きな成果をあげようとする。高い理想を掲げ、かつ、高い収計性を追求すること。ビジョナリー・カンパニーの多くが現実主義と理想主義という2つの側面を持っている。


◆ 『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』 ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス、山岡洋一訳、日経BP出版センター、1995/9 第1版/2006/7 32刷


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