■ ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》  (2021.3.11)

新国立劇場の《ワルキューレ》初日に行ってきた。2021-3-11(木)

入場者を絞ってのコロナ対策をほどこした公演。オケピットもアッバース版とかで奏者を縮小している。16:30開演であったが終演は22時近くの長丁場であった。
指揮者・飯守泰次郎の闘病から大野和士への交代とか、ジークムントが公演間近になってようやく決まるとか。コロナ禍のなか、とにかく話題が多かった。
しかし、コンサート禁断症状のなか、待望のワーグナー公演で《ワルキューレ》に渇を癒やされた感があった。

大野和士の指揮ぶりには、冒頭の前奏曲からして緊張のみなぎった逃走のテーマに、気力の充実を感じた。オケが十全に鳴っている、大野―東響のコンビは初めてだったか。弦などの表現力はさすがに東響らしさを感じる。
終幕に近づくとオケのアンサンブルや金管群に特に強奏部分では、ちょと荒れが感じられるようになりました。さすがに、久しぶりの長時間公演でスタミナ問題か。

ジークムントは心配でしたが、なんとかやり終えたようです。第1幕の村上敏明さんには、もうちょっと余裕をもって演じて欲しかったが、しょうがないですか。イタオペのような仕草がときおり見られましたね。はちまき(?)は場違いの感あり。

さすがに藤村実穂子さんの存在感はバツグン。フリッカの人間性描写が鋭い。ブリュンヒルデの池田香織さん。熱演だったと思いますが大きなビブラートが気になりました。まとっている鎧は空手の武具のよう。ウォータンはどうだったでしょう、たしかにスケール感はあった。

演出はゲッツ・フリードリヒとか。第1幕の傾いた室内空間な何を意味するのだろう。2幕-3幕への続くトータルのイメージが分からなかったのだが。細かいつじつま合わせの演出が気になる、2幕のジークリンデの脇にある「馬の模型?」とか、ブリュンヒルデが剣のカケラを拾い集めるとか。3幕の冒頭は、コロナ禍騒ぎを連想しましたね。

<出演>
指揮:大野和士 管弦楽:東京交響楽団
演出:ゲッツ・フリードリヒ

ジークムント(第1幕):村上敏明
ジークムント(第2幕):秋谷直之
フンディング:長谷川顯
ヴォータン:ミヒャエル・クプファー=ラデツキー
ジークリンデ:小林厚子
ブリュンヒルデ:池田香織
フリッカ:藤村実穂子




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