■ 都響第1000回 定期演奏会Bシリーズ ブルックナー 第9番
   サントリーホール  2024-6-4 (火)

指揮のインバルへの期待の大きさか、サントリーホールは満員の盛況である。
わが座席はP席、インバルの指揮ぶりが真っ正面から確認できる。
楽器の様子もよくわかる。この交響曲ではワーグナー・チューバが指定されている。
ホルンとの持替のようだが、どの場面で活躍するのだろうか?

荘重な第1楽章の開始。都響のコンディションも良いようである、格調のある演奏だ。
強奏のフォルテの頂点では聞きづらいのだが これはP席の限界か。
  インバルの指揮は実に厳格なもの、ととも88歳とは思えない。
「フォルテ」にこそ音楽の神髄とでも言うのか。
フォルテの上に、さらに左手を高くかかげて、強い響きを求めている。
やはりブルックナーでは静/動の対比が魅力的。心に響く。

とりわけ第3楽章が印象的。荘重な雰囲気が醸し出される。
都響の弦楽器パートが魅力的だ。インバルとの相性もすばらしい。
ワーグナー・チューバはこここで活躍するんですね。ホルンに大きな広がりが加わる。

問題の第4楽章。
私的な感想ですが、どの補筆を聞いても、音楽的品性がほかの楽章に比べてガクンと
落ちるのが残念です。ブルックナー作品としての統一感も失われている。
  第3楽章までで充分満足です。
さすがのインバルの演奏を聴いても違和感が増すばかり。
ブルックナーの遺言では、《テ・デウム》の代替演奏があるようだが、まだその機会がない。


◆ ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調
      第1〜3楽章 (ノヴァーク版)  第4楽章 2021-22年SPCM版 (日本初演)
◆ 演奏:東京都交響楽団
◆ 指揮:エリアフ・インバル(桂冠指揮者)   コンサートマスター:山本友重

 




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