■ キジバトの巣立ち  (2019.8.15)

庭の片隅のブドウの木にキジバトが巣を作ったようである。タマゴが2個見える。3週間ほどの抱卵時期を経て2羽の幼鳥が巣立っていった。


<参考: 「キジバトの繁殖生態. 野鳥, 通巻571号:8-10」 (http://www.mus-nh.city.osaka.jp/wada/papers.html#anchor32189)>
キジバトをはじめとするハト類はピジョンミルクと呼ばれる"そ嚢"分泌物を雛に与えるので、動物性の食べ物は必要ありません。そのためキジバトはほぼ一年中繁殖が可能で、真冬にでも繁殖することがあります。やはり冬の間はあまり熱心に繁殖するわけではなく、繁殖のピークは6月から11月ぐらいです。この長い繁殖期(?)の間に、多くのつがいは何度か繁殖を試みます。
巣はもっぱら樹上に樹の枝などを組み合わせて造られますが、近年は建築物に巣を造ったり、巣材に針金を用いたりすることも多くなってきました。繁殖には古巣が使われることも多い。

【.抱卵と育雛】一腹卵数は1-2個で、抱卵は昼間は雄が夜は雌が行ない、一度抱卵を始めると巣に親鳥がいない時はほとんどありません。雄と雌の交代の時間は季節によって異なりますが、午前8時前後と午後3時過ぎぐらいに行なわれます。交代にくるはずの雌が午後5時を過ぎてもやってこないのを観察したことがあります。巣にいた雄は、雌を呼ぶかのようにしばらくの間巣の上で鳴いていましたが、そのうちに交代もこないのに巣をほうりだして飛んでいってしまいました。同じことが次の日もあり、とうとうその次の日にはその巣は卵を残して放棄されてしまいました。どうやら片親だけでは抱卵はできない、あるいはする気がないようです。

卵から雛がかえるには15-16日かかります。雛がかえっても数日間は、抱卵の時と同じようにいつも親鳥が巣にいて雛を暖めます。その後徐々に親鳥が巣にいる時間は短くなってゆき、そのうちに親鳥は一日に数回雛に餌をやるとき以外は巣にこなくなります。雛への餌は最初はピジョンミルクだけですが、徐々に植物の種子などを混ぜてゆき、巣立つ頃には親と同じような餌をもらうようになると言われています。

雛は孵化後15日ぐらいで巣立ちます。しかし無事に巣立ったのは約23%に過ぎず、残りの巣では卵や雛が捕食されたり、卵が放棄されたり、卵や雛が巣から(時には巣と一緒に)落ちて繁殖は失敗してしまいました。もっとも多い失敗の原因は捕食によるもので、繁殖全体の60%にも及びます。誰に捕食されたのかを確認するのは難しいのですが、カラス(ハシブトガラスとハシボソガラスの2種)・ネコ・ヘビ(アオダイショウ)による捕食を観察したことがあります。

巣立った雛はしばらくの間は、親からの給餌に頼っていますが、やがて自分でも餌をとるようになり、分散していなくなってしまいます。

◆ 抱卵開始 (2019.7.6)


◆タマゴが2個、画面右下に見える (2019.7.8)


◆ヒナの誕生  (2019.7.22)


◆親鳥がヒナにエサをやっている  (2019.7.23)


◆ヒナの成長、もう巣立ちを待つばかり  (2019.8.1)


◆巣立った2羽が隣家に飛んできた  (2019.8.10)


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