■ 三岸好太郎:赤い肩掛けの婦人像  (2013.4.1)

先日、突然のやぼ用で札幌に行ってきた。市内にはかなりの雪が積もっていた。歩道にも雪が残っているので、特に夜はツルツルすべって危険。思わず足に力が入ってしまう。帰途ふくらはぎがパンパンにはれていたのは、どうもムダに力を入れて歩いたせいらしい。

到着後に時間があったので、数年ぶりに札幌市内の三岸好太郎美術館を訪れた。三岸好太郎(1903-1934)は札幌出身の洋画家。昭和9年(1934)31歳の若さで亡くなっている。妻の節子も画家として著名。



かねて三岸好太郎のファンなのだが、マイベストは @《赤い肩掛けの婦人像》とA《オーケストラ》。@のモデルは、当時好太郎が熱愛していた19歳の吉田節子。節子はこの絵が描かれてから8カ月後に好太郎と結婚する。

Aはオーケストラの演奏風景。新響(N響の前身)がハイドンのチェロ協奏曲を演奏している。チェロ奏者は斉藤秀雄(小澤征爾の先生)らしい。エッジングのような実験的手法を採用している。白い絵の具を一面に塗った画面を、釘のような鋭い筆でひっかいている。


これらの2作品を、原画を目の前に、たっぷり観賞できたのは眼福であった。画面の前に立つと、いずれも思ったよりも大きなことに気がついた。細部の微妙なタッチもわかる。とくに《オーケストラ》は、印刷物とか写真では、リズミックで音楽的な画面がまったく伝わってこない。原画には中央で熱演するチェロ奏者とか、オーケストラのメンバーが一筆書きのように一気呵成に描かれている。熱演の様子がはっきりわかる。




◆《赤い肩掛けの婦人像》(1924-20歳) 66×51cm
◆《オーケストラ》(1933-30歳) 89×115cm

三岸好太郎のアトリエ(建築当初、ガラスを多用した斬新的な設計として注目された)が東京・鷺宮に残っているとのこと。いつか訪ねてみたい。もう老朽化していて、保存運動が行われているとか? → こちら


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